
私たち研恒社は、創業以来53年にわたり校正サービスを主軸としながら、企画・印刷・出版を手掛けてきました。この間、印刷業界はアナログ(紙)からデジタル(データ)へと大きく変化してきました。今回は、この変化の中で当社が培ってきた経験や対応についてご紹介します。
WebサイトやSNSに掲載されている写真を、印刷物に使おうとすると「思ったよりぼやけて見える」「印刷すると粗くなる」といったご相談をいただくことがあります。
これは、画面と紙では必要な画像の情報量(解像度)が違うために起こる現象です。
この記事では、印刷で必要とされる解像度やピクセル数を、よくある疑問を交えながらご紹介します。
デジタル画像には「ピクセル数」と「解像度(dpi)」という2つの要素があります。
ピクセル数(px):画像が持っている“点”の総数。
たとえば「1000×1000px」は縦横1000個ずつ、計100万個のピクセルで構成された画像です。
解像度(dpi):1インチ(約2.54cm)あたりに、どれだけピクセルを詰めて表示・印刷するかを示す数値。
たとえば、解像度300dpiなら、1インチあたり300個のピクセルを使って画像を再現します。
画面上では72dpi~96dpi程度でも綺麗に見えるため、Web上の画像はこのくらいの解像度で作られていることが多いです。
しかし、印刷では通常300dpi程度が必要となります。そのため、同じ画像でも紙に印刷するとサイズが小さくなるか、拡大すると粗くなるのです。
実際によくいただくご質問に「解像度は分からないけど、何ピクセルあれば印刷できますか?」というものがあります。
目安としては、次のように考えると分かりやすくなります:
印刷したいサイズ 必要なピクセル数(300dpi相当)
・名刺(91×55mm)約1075×650px
・はがき(100×148mm) 約1181×1748px
・A5サイズ(148×210mm) 約1748×2480px
・A4サイズ(210×297mm) 約2480×3508px
もちろん、用途や求める品質によって変動はありますが、チラシやパンフレットなどで「写真を綺麗に見せたい」場合には、上記のピクセル数が一つの基準になります。
業務では、画像をワードやエクセルに貼り付けたデータをご支給いただくことがあります。
しかし、これらのソフトに貼られた画像は、自動で圧縮・軽量化されていることが多く、
そこから画像を取り出して印刷に使うと、画質が粗くなる場合があります。
(ピクセル数が減る=点の総数が減る)
また、ワード上で画像を「拡大」して見た目を大きくしても、画像のピクセル数は増えません。
見た目だけ大きくしても、一度減ってしまった点の総数は元に戻りませんので、結果として画像がぼやけてしまいます。
❖画像入稿時の当社での対応
・JPEG、PNGなどの画像データは画像ソフトで開き、解像度など確認します。
・ワードやエクセルなどに貼りこまれた画像は、一度画像を抽出し、画像ソフトで画質や解像度を確認します。
・拡大して使う場合や画質に不安がある場合には、元の画像データ(JPEGやPNGなど)やほかの画像データをご提供いただくようお願いしています。
・元画像が手元にない場合は、ご相談とご了承後、画像データを出力し、それをスキャナーなどで取り入れた画像を元画像と照合し、印刷に適しているかどうかを当社とお客様で確認して進めさせていただきます。
画像のピクセル数と解像度の違いを理解することで、印刷時の「思ったより粗い」「綺麗に出ない」といった答えが見つかりやすくなると思います。必ずしもトラブルを防げるとは限りませんが、違いを知ることで、「なるほど」とご納得いただける場面が増えるのかも知れません。
私たち研恒社では、お客様からご入稿いただいた画像データについて、印刷に適しているかどうかを事前に確認します。必要に応じてご説明させていただいたり、また元画像のご提供などのご相談させていただいております。
印刷に使用する画像でご不安な点があれば、お気軽にご相談ください。