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2025.09.17
印刷豆知識その3:「画面で見た色と印刷の色が違う?」知っておきたい“色”の基本

私たち研恒社は、創業以来53年にわたり校正サービスを主軸としながら、企画・印刷・出版を手掛けてきました。この間、印刷業界はアナログ(紙)からデジタル(データ)へと大きく変化してきました。今回は、この変化の中で当社が培ってきた経験や対応についてご紹介します。

 

画面で見たときと、印刷したときで色が違って見えるのはなぜ?

「パソコンで見ていた色と、印刷した色がちょっと違う…」という経験はありませんか?
これはパソコンやスマホの画面と、印刷物では“色の仕組み”が違うために起こる現象です。
RGBとCMYKの違いを知っておくと、なぜ色がズレるのか、その原因が見えてきます。

RGBとCMYKのちがい

『RGB(Red・Green・Blue)』は、光の3つの色の組み合わせです。
パソコンやスマホの画面で使われており、明るく鮮やかな色を出すのが得意です。
RGBの3色をすべて重ねると、画面は「白っぽく」なります。つまり、光を重ねて色を表現しています。

一方、『CMYK(Cyan・Magenta・Yellow・Black)』は、インクの色の組み合わせです。
印刷物はこのCMYKで色をつくります。
CMYKのインクを重ねると、色はだんだん暗くなり、最終的には「黒」に近づきます。つまり、インクを重ねて色を表現しています。

このように、RGBとCMYKは光とインクというまったく別の仕組みで色をつくっているため、パソコンで見たときと印刷したときで色が変わって見えることがあります。
また、印刷ではRGBのままでは出力できず、必ずCMYKに変換して印刷します。
そのため、RGBでつくったデータをそのまま印刷に使うと、一部の色が再現できず、くすんで見えたり違う印象になったりすることもあります。

特別な色を使いたいとき:「特色(スポットカラー)」とは?

CMYKでは表現しきれない色や、ロゴなど特定の色を正確に印刷したい場合には、『特色(スポットカラー)』という方法があります。

・あらかじめ調合された特定のインク(例:DIC、PANTONEなど)を使って印刷します。
・コーポレートカラーやブランドカラーを、ブレなく印刷したいときに使われます。
・色の再現性は非常に高いですが、印刷費用や手間はやや多くなります。

なお、一般的なオンデマンド印刷では特色インクは使用できません。そのため、近い色をCMYKで再現する方法になります。
※最近では、一部のオンデマンド機で特色トナー(蛍光ピンクやホワイトなど)を使って、RGBに近い色を再現できる機種も登場しています。ただし、対応している印刷会社は限られるため、事前の確認が必要です。

同じデータでも色が違う?印刷方式による違い

「前に刷ったものと、今回の印刷で色が微妙に違う気がする…」
そんなときは、印刷方式の違いが影響していることがあります。

◎ オフセット印刷
・版を使ってインクを紙に転写する方式
・インクの発色が安定しており、色ブレが少ない
・中~大部数の印刷に向いています
◎ オンデマンド印刷
・トナーやインクジェットで直接出力する方式
・小ロットや短納期に対応しやすい
・使用する機種や用紙によって、色の出方に違いが出ることがあります

当社での対応

印刷に関する色のご要望に対して、当社では以下のような対応を行っています:

・RGBデータをご入稿いただいた場合には、「印刷時には画面と色が異なる可能性がある」ことを事前にご説明し、CMYK変換による影響をご案内しています。
・小ロットでも色にこだわりがある場合は、オンデマンドではなくオフセット印刷をご提案することもあります。
・色にこだわりがない場合や、コストや納期を重視される場合は、オンデマンド印刷をご提案することもあります。
・色の再現性を特に重視される場合は、事前に「色校正(試し刷り)」をご提案し、実際の印刷色をご確認いただくことも可能です。

まとめ

パソコンの画面と印刷物では、色の表現方法が違うために、見え方が変わることがあります。
RGBとCMYKの違いや、印刷方式による特性を知っておくことで、色に関する疑問が生まれたときにも「そういうことだったのか」と納得しやすくなります。
「この色、印刷でどうなる?」と気になる場合は、お気軽にご相談ください。
当社では目的や仕様に応じて、最適な方法をご提案いたします。